海外不動産投資が注目されています。
海外不動産投資が注目されている理由として、一般的に語られるメリットとしては以下の3点があります。
(1)海外では不動産価格が上昇しており、売却益を狙える
海外には不動産価格が上昇し続けている国があります。
不動産価格が上昇していく国では、キャピタルゲインを狙いやすくなります。では、不動産価格が上昇する国とは、どのような国でしょうか。それは「経済成長」と「人口増加」の2点です。
このような国の不動産を安く買って、高値で売却すれば「キャピタルゲイン」を得られることになります。
(2)人口が増加している海外の国では、安定した家賃収入が得られる
人口が増えている国では空室リスクが小さいため、家賃収入、いわゆる「インカムゲイン」が安定しやすい。これも海外不動産投資に関してよく語られているメリットです。
人口が増加している地域では往々にして住宅の供給が需要に追いついていないため、賃貸需要が高くなります。そうした観点から、マレーシア、フィリピン、タイなどの東南アジアの新興国などは、日本人の不動産投資先として人気が高いという現状があります。
(3)資産の分散によるリスク回避
投資の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があります。
この格言が示すように、資産を分散保有することでリスクを低減するというのも、海外不動産投資のメリットの一つと言われています。
上記3つの海外不動産投資のメリットはウソではありません。
ですが、このメリットを大きく上回るデメリット・リスクが海外不動産投資にはひそんでいます。
実は、私自身も海外不動産投資で「詐欺」の被害にあいました。
以下の記事を読めば、海外不動産投資についての理解が深まり、どのような人が海外不動産投資に向いているのかが明確に理解できるようになります。
初心者には「海外不動産投資」はおススメしない

結論から申し上げますと、不動産投資初心者であるあなたが海外不動産を購入するのはやめた方がいいです。
海外不動産投資は、大きくは次の2つの区分があります。
(1)先進国不動産投資
- アメリカ
- カナダ
- イギリス
- オーストラリア など
(2)新興国不動産投資
- タイ
- ベトナム
- フィリピン
- シンガポール
- マレーシア
- カンボジア など
主要国のメリット・デメリットを整理すると下表のようになります。

いろいろな見方がありますが、ざっくり言ってしまうと、
- 先進国不動産投資 ⇒ 安定感があり資産価値も高いがが、利回りが低くあまり儲からない
- 新興国不動産投資 ⇒ インカムゲイン・キャピタルゲインともに期待できるが、そもそも根本的なリスクが大きい
といった感じになります。
以下の記事で、海外不動産投資のリスクを解説していきますが、正直申し上げて、不動産投資初心者のあなたは絶対に手を出すべきではありません。
海外不動産投資をおすすめしない6つの理由
海外不動産投資のリスクは以下の6点です。不動産投資初心者のあなたには「リスク許容度を超えている」と言わざるをえません。
(1)キャピタルゲインが得られないリスク

海外不動産投資の「メリット」、美味しいところは、安く買って高く売るという「転売益」(キャピタルゲイン)ですが、それが得られないという致命的なリスクがあります。
経済成長しているから、人口が増加しているからと言って、不動産価格が右肩上がりに上昇するほど単純な話ではありません。
たとえば、不動産バブルの崩壊、リーマンショックやコロナショックのような予測不可能な景気後退によって、不動産価格が下落するリスクは常に存在します。
そのようなコントロールが難しく不確実性の高いものに期待して購入する行為は、もはや投資ではなく投機です。
以下では、キャピタルゲインを獲得できない2つの代表的なパターンをご紹介します。
1.値上がりしない可能性がある
下図はタイの首都バンコクの住宅価格の推移のグラフです。
このグラフでは、コンドミニアム・タウンハウス(集合住宅)・一戸建ての価格推移が、それぞれ価格帯別に示されています。
注目すべきは、1990年代後半から2000年代前半にかけて、すべてのカテゴリーで価格が大幅に下落していることです。
経済発展中の国だからといって、不動産価格の上昇を信じてキャピタルゲイン狙いの投資をするのは極めて危険です。
現在の上昇がバブルであればいずれは崩壊しますし、通貨危機やリーマンショック、コロナショックのような世界的な景気後退の影響で下落することもあります。
もしもあなたが、価格が上昇するかもしれないという不確実性の高いものに投資したいのであれば、海外不動産ではなく株やFX、仮想通貨などの方がまだマシです。
金額が大きく失敗した時の損失が大きい上に、わざわざ購入手続きや管理に手間がかかる海外不動産を選ぶのはデメリットが大きすぎます。
2.(プレビルド物件の場合)建物が完成しない可能性がある

プレビルドとは、物件の建築工事に着手する前、あるいは完成前に物件を購入することです。
タイやフィリピンなどの東南アジア諸国でのコンドミニアム建設などでは一般的な販売手法です。
プレビルド物件の場合、建築の初期段階で安く購入し、完成後に高く売却することでキャピタルゲインを狙います。
また、購入金額を分割して支払うことが一般的であるため、手持ちの資金が少ない場合でも購入しやすいというメリットがあります。
しかし、建築工事の着手前に安く購入できるというのは、それなりのリスクを背負っています。
プレビルド物件のリスクとしては、以下のようなものがあります。
- 物件の竣工が大幅に遅れるリスク
- デベロッパーの倒産により、物件自体が完成しないリスク
- 物件が無事に完成したとしても、想定していたほど販売価格が上昇しないリスク
- 売却のタイミングを見誤り、上昇幅の少ない時点で売却してしまうリスク
- 価格の安さで物件を選んだ結果、需要の低いエリア等の物件を購入してしまい、売却できないリスク
(2)安定したインカムゲインを得られるとは限らない
人口が増加している国では賃貸需要が高いため、空室リスクが低く安定的にインカムゲインを稼げる。このメリットも必ずしも正しいものではありません。
日本は全体としては人口が減少していますが、東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県の首都圏では、いずれも人口が増加しています。
一方、先進国の中では珍しく人口が増えている国がアメリカです。これは、世界中から移民を受け入れているからです。
しかし、州別のデータで見ると、人口が増加している州・減少している州があることが分かります。2010年~2018年の間にテキサス州やユタ州では13.5%以上の人口増加率ですが、イリノイ州やウェストヴァージニア州では人口が減少しています。
以上を踏まえれば、たとえ国全体では人口が増えているアメリカや東南アジア諸国であっても、「どの都市のどのエリアであれば今後も高い賃貸需要が見込めるか」をきちんと見極めなければなりません。
しかし、馴染みのない外国都市のエリアの賃貸需要を正確に見極めるのは困難です。その点、日本国内の首都圏や中核都市で不動産投資をする方が、難易度は低いと言えます。
(3)海外不動産投資では、融資のハードルが高い
海外不動産投資を始めるときに大きな壁となるのが、どの金融機関から融資を受けるかという問題です。
国内金融機関から融資を受ける方法と、現地の海外金融機関から融資を受ける方法があります。
1.国内の金融機関で海外不動産投資ローンを組む
海外不動産投資に融資を出す国内の金融機関は非常に少なく、また審査も厳しい状況にあります。
仮に融資を受けられたとしても、金利が高かったり、返済期間が短かったり、融資割合が小さかったりするなど、基本的に国内不動産投資と比較すると融資条件は良くない状況にあります。
海外不動産投資に融資をしている国内金融機関は下表のとおりです。

2.海外の金融機関でローンを組む
投資物件の所在国の金融機関から融資を受けるという選択肢もあります。しかし、現地の金融機関から融資を受けるには、越えなくてはならない様々なハードルがあります。
最も大きな障害は言語的な問題ですが、これは通訳やガイドに手伝ってもらうことで何とかできます。
しかし、現地の金融機関から融資を受けるためには各国・各金融機関で定められている条件を満たさなければなりません。
例えば、東南アジアの新興国では、現地で収入を得ていることが条件です。一方で、アメリカでは、現地でのクレジットカード信用スコアを得ている必要があります。
(4)管理に手間がかかる
不動産投資は、買って終わりではありません。購入後にきちんと管理し、インカムゲインを稼ぐ必要があります。
国内の不動産であれば、自分で定期的に物件を見に行くことも、管理会社と密にコミュニケーションを取ることも可能です。
しかし、海外の管理会社の場合、日本の管理会社と比較して対応がずさんなケースが多くみられます。
そうしたずさんな管理では、安定的にインカムゲインを稼ぐことは難しいです。
海外不動産投資を成功させるためには、信頼できる管理会社をパートナーに選ぶことが必須条件ですが、その選定は簡単ではありません。
(5)海外不動産による節税スキームは通用しなくなった
海外不動産投資がブームとなった背景には、節税効果が大きいというメリットがありました。
しかし、2020年の税制改正により、海外不動産投資の所得と国内所得を損益通算できなくなり、2021年以降は海外不動産の減価償却を利用した節税スキームは使えなくなりました。
以前は海外不動産の減価償却によって日本国内で節税することができていました。しかし節税効果を得られなくなった今、わざわざリスクを取って海外不動産投資をするメリットは非常に小さくなりました。
(6)為替変動リスク、通貨リスク
海外不動産を購入する際の代金は現地通貨で支払いますが、為替レートは変動するため、売却時に当時よりも円高に進行すれば為替差損が発生します。
また家賃収入を得る場合にも、円安になれば受け取る日本円は少なくなります。このように、海外不動産投資には為替リスクが伴うことに注意が必要です。
また、そもそもの話ですが「あなたは海外の通貨が欲しいですか?」という根本的な問いかけがあります。
日本で不動産投資をすれば、当然、あなたが受け取る家賃は「日本円」です。アメリカ不動産投資をすれば「米ドル」を受け取ります。イギリス不動産投資をすれば「ポンド」を受け取ります。
一方、新興国の場合、フィリピン不動産投資をすれば「フィリピンペソ」、タイ不動産投資をすれば「バーツ」、ベトナム不動産投資をすれば「ドン」を受け取ることになります。

あなたはこれらの通貨が欲しいですか?
もっと言えば、タイ不動産投資をすれば、タイ・バーツ建ての現物資産(不動産)をもつことになります。バーツ建ての現物資産が、あなたは欲しいですか?
あなたの今後のライフプランにおいて「タイ・バーツ」など、新興国通貨の役割は何ですか??
その点をよく考えてから、行動を起こす必要があります。
私の場合を申し上げますと、、、
- 保有したい通貨は米ドルと日本円が基本
- イギリス・ポンドはあってもよい程度
- ユーロは不要(EU自体の将来性に疑問があるから)
- 他の通貨、あるいは他の通貨建ての現物試算(不動産)もいらない
私は基本的にハードカレンシー(強い通貨)しか欲しくありません。
単に儲かるからといって、新興国通貨、及びその通貨建ての現物資産(不動産)を保有すると、将来「さて、これはどうするの?」となりかねません。
ちなみに、例外なのが「カンボジア不動産投資」です。カンボジアの現地通貨は「リエル」なのですが、実際に広く流通しているのは「米ドル」です。
すので、米ドルが欲しい人であれば、アメリカ不動産投資だけではなく、カンボジア不動産投資を候補にあげるのは理にかなっていると言えます。
「海外不動産投資」に向いている人

以上までを読むと海外不動産は全くダメな印象をうけるかもしれませんが、必ずしもすべての人にとって適さないというわけではありません。ここでは、どんな人なら海外不動産投資を選択肢にしてもよいのかを解説します。
(1)海外移住を考えている人
海外への永住を考えているのであれば、海外現地の不動産投資はアリです。
国によっては、一定以上の不動産を所有している、もしくは一定以上の不動産収入があると永住権を獲得できる制度があるためです。
たとえばスペインの場合、一定条件を満たすと投資家ビザを申請できるようになり、最終的に永住権を獲得できます。
他にもアメリカやタイなどでも、条件次第で永住可能です。
ただし、ほとんどの国で数千万円以上の投資が条件となっていますので、誰でも取れる選択肢ではないことには気をつけてください。
(2)現地語を話せる人・帰国子女・海外に住んでいる人
海外不動産投資は、現地語を理解して話せる方や帰国子女の方が非常に有利です。
不動産の契約から管理、入居者との交渉など、言葉が通じるだけでもスムーズにいくケースは多々あるでしょう。
またその土地に住んでいる場合、治安や価格の相場など土地勘にも優れているため、不動産投資に挑戦しやすいといえます。
(3)融資を受けなくても購入できる人
海外不動産投資では金融機関から融資を受けることが難しいです。
融資を受けなくても十分な資産や資金を準備できる人のほうが、不動産投資に向いているでしょう。
物件をキャッシュで購入できる、もしくは必要経費の多くを自己資金で賄えるような方は、海外不動産投資に挑戦する価値は高いといえます。
ただし、融資を受けずにキャッシュで購入する場合には、レバレッジ効果を活用できません。
少額の自己資金で大きな利益を生み出せるレバレッジ効果こそが不動産投資の最大のメリットですので、キャッシュで購入する場合はそのメリットを享受できないことになります。
会社員・公務員の初心者は「海外不動産投資」に手を出してはいけない

「海外不動産投資」でGoogle検索すると、山のようにいろいろな販売業者、仲介業者のサイトが出てきます。
中にはバラ色で夢のような将来を保証するかのようなサイトもあります。
ですが、日本在住の会社員・公務員であるあなたには、こうしたサイトに踊らされないようにして欲しいものです。
あなたは将来どうなりたいのですか?
あなたはどの通貨で資産形成していきたいのですか?
ほぼすべての日本人は「日本円」で生活しています。
常にこの視点を忘れないようにしてください。
まずは、日本不動産投資で、毎月安定した副収入を目指してください。
どうしても海外不動産投資をやりたい人は、その後からでも全く遅くはありません。
さて、ここで白状しますが、私も実は、海外不動産投資に手を出して、痛い目にあったことがあります。
それも十分に検討したうえで「これなら間違いない」と判断して、それでも落とし穴に見事はまってしまったのです。
ご興味のある方は、コチラの記事をお読みください。


